2019年2月28日22:32


 同じような原本は世界各地に存在し、戦争の忌まわしい記憶とともに多くは鍵をかけ封印されてしまうらしい。
 物語は、古くから戦争の道具だった。

どんなに、作者が幸せを願おうと。平和を祈ろうと、それのいくらかは忌まわしい本として歴史から葬られるのだという。

「生き残った本にも、上層部が強い呪いを封じて強引に開けないようにしている……
けれど、管理者との結び付きがある本だけは例外」

「どうして、その、話、あなたは、いったい」

「フィルローグ家が『管理者』だから!」

あんな半ば奇襲があったので、てっきり自分を排除したいのだと考えていたけれど、ルチアノは何か考えているようだった。
「あなたにしか、あの結界を破壊することができない」

彼女は古い校舎に、フィルローグ家の術が施されていると話した。なぜ、そんなことを知っているのだ。
犬死したくないのと、どう関係するのだろう。


「おおよそが今の社会が築かれる以前に描かれた本で、学園は、その管理も任されているけど……今、あちこちの結界が弱まっているの」

確かに、夜に侵入者を見た気がする。メイルも不安なことを言っていた。

「同時に、何かに吸い寄せられて黒いものが、本から出て来ようとする」

「この本の、せい?」


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