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「……」

 ツルナは、得たいの知れない男の子と、得たいの知れない場所に入るこれも、精神修行のひとつだと思った。

異性が嫌いというわけでも同性が好きなわけでもないが……
 体力負けするのはわかったし、もしも彼が変な気を起こしたら確実に死ぬだろう。
こんな不気味な場所に取り残され、そんな目にあったら、ひとたまりもない。

男はいいなと適当なことを思いつつも、頭を振って感情を落ち着かせる。

彼が悪い人と決まってはいない。

「……帰りたーい」

「入って三秒で泣きそうになるな」


「うぇえ……リークロードくんは、なんで平然としてるんですか」

彼は意地悪な笑みを浮かべていた。

「お前の挙動不審が面白い」
「死ね」

ツルナは最悪な気分になりそうだった。

「人に向かって死ねはないだろ」

「じゃあ私が死にます! うううう……」

「死ななくていいだろ、少なくともまだ入り口だ」


かたかたと震えながら、ツルナは部屋の奥を目指す。壁にスイッチを見つけて電源を居れるとぱあっと周りが明るくなった。





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