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 まるで、周到に用意された出来すぎたような展開だ。
 売りきり、返品修理は不可というものなので、新たに買い足す他はなさそうだ。
残っていたデータも、同じ日付の内容をコピーして並べたようになっていたらしい。

「業者さんを疑うときりがないですねぇ。
鍵屋、電気屋、水道屋……」

近頃の泥棒は、作業着スタイルで、電気工事と紛らわしく歩いているか、またはスーツを着ているという話を先生も耳にしたことがある。
昼間から歩いていても点検の風を、あるいは、営業マンを装えばいいのだ。
似たように、校内に出入りするにもそれなりな格好をしていればわりかし、侵入は容易いだろう。
あとは……
結界に反応するか否かだが、この結界だって、管理や修復の問題で学校中を覆うわけではなく入り口ごとだ。







 入り口に触れずに、下見してくることは可能だろう。
昔刑事が言ってたが大抵の犯人は、下見をするらしいし……

(そういえば、少し前、学校内の蛇口の出が悪くて水道屋さんが入りましたね)

「リライト先生」

「はい」

「適当な推測ですが、たとえば水道屋さんのなかに下見人が居るかもしれません」

「なるほど、下見をしてその中で得た情報をまた、本命に渡すのですね」

「一人とは限りませんが……」

二人が廊下を歩いていると、黒い影が横切ってきた。

「わっ、びっくりです」

幽霊先生は、既に肉体がないためなのか恐怖には疎くなっており、かなり穏やかに驚いて見せた。
「先生は先に、生徒たちの点呼にむかってください」
リライト先生は足場が滑らないようにと軽く踏み鳴らしてから、持っていた銃を手にした。


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あきゅろす。
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