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 教室で進路をどうするかという内容の授業を受けながら、うちは進学は無理だなぁ、と考えた。



父親は『死んだ』と聞かされている。
残された母は頼りない。
姉は気に負うこともなく進学していたが、

わたしは、姉を行かせたぶんお金が危ういのよ、と圧をかけられている。

しかも、母は最近はご近所での盗難騒ぎのせいで気が弱ってその愚痴ばかりを言うので、数少ない貯金が盗まれたらそれこそ、気落ちして頼るものもないだろうし、私をこんな状態で学校に行かせたら後悔するだろう。

自力で稼ぐほどの時間が欲しいなら通う場合でさえないし、いつでも通える。
ぐるぐる考えると、混乱しそうだ。


 安いところならどうにかなるかもしれない、と思うものの、もしかしたら毎日のように愚痴を聞かされると考えたら、きっと罪悪感しかわかないし、重い気持ちになって楽しく通えないと思った。

ただでさえ『この身体』だし……
どうせ、変なのにつきまとわれたり嫌がらせされてしまうだけ。

肩書き重視の年寄りは放っておけばいいだろう。たぶんそれしか誇りがないのだ。

いいなぁ。長男長女は、とこういうときは思う。


なんだか恐怖に支配されていたら、ツンツンと、シャーペンの先で、隣の席のフィルがつついてきた。

「みてみて」

「ん?」

あの子、と、後方を指差され振り向くと、そこには水色の髪の子がすやすや眠っていた。
授業中だよー。




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