3 あぁあ……ツイていない。 今日は休日だから、兄弟達とのんびり過ごす予定だったのに…。 大好きな兄達や弟と妹の顔を思い浮かべながら、私の気持ちとは裏腹に清々しいほどの青空の下を、不機嫌さを隠しもせずに歩いていく。 「まったく……私1人にベースを探させるとは、本当にいい度胸をしているな…彼奴等」 結局、メンバー全員と連絡を取ったらその全員が口を揃えて、『リーダーよろしく』などと言ってきおった。 他人任せか…。 そう溜息を吐くも、今のメンバーも私が見つけ勧誘したり、他のバンドから引き抜いてきたりしていて、ベースも自分がいいと思った人物でなければ納得できないのだから、まぁいいか。 なんて思う反面。 (面倒だ…) そう思ってしまうのは、性格の問題。 第一、勧誘し引き抜いてくること自体大変だし、いいベーシストを見つけてくるのだって難しい。 多少なりとも面倒な気分にもなるさ…。 半ば自棄を起こし、「ギターを見つけてベースをやって貰うか」なんて上の空で考えていた時、何気なく見遣ったショーウインドウに自分の姿を見つけた。 あの3人が騒いでいただけあってか、自分でも今の髪色は不思議としっくりきている気がした。 これであとは、瞳の色を変えてみたらもっとしっくるくるだろうか。 なんて、微笑が零れる。 だのに、足りないと感じる、何か。 (……なにか…) 銀糸に触れて、あの違和感を再認識。 (…なにか) きっとこれはただの気の所為だと笑い飛ばしてしまうには、自分自身が納得いかなくて。 (――――……だれ、か…) 足りない。 『――……ーリ、』 刹那、弾かれたように背後を振り返れば、そこは柔らかい陽射しに包まれた長閑な公園で。 考えるよりも先に、足が勝手にそこへ向かっていた。 . [*前へ][次へ#] |