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幻滅デイリー
人外漢の話
 俺は生まれてこの方、排卵というものが無かった。わたしは生まれてこの方、射精というものが無かった。

 さて、ぼくは男か女かと言ったらどちらに分けられるのだか。ひよこの性別鑑定師でも呼ぶか、と医師をからかった事も無いわけは無い。まあ、つまりはあるわけだが。遺伝子的には両染色体を持った、非常に珍しい研究対象らしい。子供は作れず、子供は産めず。確かに、男でも女でも無いのだ。どちらかが出来れば、悩みも解消出来るだろうに。しかし、ぼくはこれを結構楽しんでいたりする。例えばの話だけれど、ダルマハゼを知っているだろうか。ダルマハゼは元々性別は決まっておらず、群れの中で体の大きな個体がメスになるそうだ。種の保存として、とても優秀だと感じてならない。髭は生えないし、体毛は薄い、喉仏も無い。しかし、確実に俺は男側なのだ。いや、男でなければならないのだ。証拠はある。乳房はないが、陰茎はある。これが何よりの証拠ではないかと訴えたが、それだけでは駄目らしい。ならば別の病気かと医師に詰め寄ったが、相手も首を傾げるばかりだった。

 自分は、俺とわたしとぼくを巧妙に使い分けていると思う。ただし、自分には人間臭さを感じない。その上、ダルマハゼにも劣るが。

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