幻滅デイリー 千里眼少年 ついー……、ぽた。 「痛い、マジで目痛い」 「目、赤いよ。保健室行ってきなって」 「うーん……」 友人の勧めにより、左目から溢れる涙を押さえて保健室へと向かった。 「あぁ、結膜炎ですね。目薬差して、休ませれば大丈夫でしょう」 へなちょこ玩具眼帯を受け取り、目薬を差してもらった後に着ける。 「寝て行きますか?」 「いえ、授業遅れると後々大変なんで」 「片目で平気なん? ノート、代わりに取っちゃるき。貸しいや」 「うーん……」 やっぱり、景色が違う。黒板、先公、窓の外、ノート。見えない、死角が生じてしまうらしい。 「ノートは、自分で取れるから平気」 「次、体育は流石に無理だろ」 「体育、何だっけ」 「サッカー」 「……休む」 「ま、保健室で寝とけ。先生には、伝えとくし」 「うーん……」 保健室の先生は、親切にアイマスクを貸してくれた。何か、目が描いてあるけど。 「んじゃ、ベッド借りまーっす」 窓側のベッドからは、グラウンドが見えた。ベッドに腰を下ろし、眼帯をアイマスクに代える。 「はー、何も見えね」 真っ暗。 だけど、聞こえるクラスメイトの声。手に取る様に、解る状況。 「俺って今、千里眼?」 [戻][進] |