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幻滅デイリー
怠惰なアイドル
 いつも笑顔のあの子こそ、偶像崇拝な狂信者。

「先生の為なら、俺は何でも出来ます。例え、この身が朽ちようと」
すらり、と日本刀を抜く少年。未だ幼く、刀を握るのは早い様に見える。
「君は、沖田総司か」
クックッ、と喉の奥から笑い声を漏らす男。その男は畳に身を横たえて、少年をチョイチョイと人差し指のみを動かして近付ける。
「沖田さんなんて……。俺は、そんなに強くありません。彼の足元にも及びませんよ」
軽く首を横に振り、否定の色を見せる。
「謙遜するなよ。実力があるなら、傲れば良い。ただ、それだけの話だ。君は新撰組の沖田総司を知っている様だから、話が早い。沖田は二代目局長である、近藤勇を慕っていた。普段は子供好きで、寺前で遊んでいた彼も近藤が一言『殺せ』と言えば黙って皆殺しだ。ただ、わたしは君にそんな事をやらせたくない。君はわたしの小姓だが、人殺しの道具じゃない。解ったら、お茶の用意をしてくれ」
少年は、白虎隊の一員だった。ただ、敵を殲滅させる為だけの数え年で十八になったばかりの少年である。しかし、彼らは後々に早とちりの為に集団自殺をしてしまう。今の世があるのは、悲しき歴史の積み重ねがあるからかもしれないが。

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