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幻滅デイリー
死亡予想図12
「もう一度殺して、本当に死んでいるか確かめてやるよ」
と性格最悪の優男の医者には言ったが、俺は夜になると殺した相手が仕返しに来るのでは、と恐怖で眠れない日々が続いていた。いつか、俺も殺されるのではないかと。いつの事だったか、組長の言葉を思い出す。「殺した奴は、殺される定めにある」と。確かに、それは合っていた。

 チンケなシマ争いで馬鹿馬鹿しい、と例の医者の家で燻っていた。今日で、ちょうど一週間になる。あの医者も甘い奴だな、と思わず苦笑する。「君が暴れたら、容赦無く血管に塩化カリウムを射ってやるだけだよ」とか言っていたけど。
「何、笑ってんだよ。手前は、もう死ぬしかねえんだよ」
眉間に銃口を突き付けられて、笑っていられるなんて可笑しいはずだ。あの医者が帰ってきたら、診てもらおう。
「あ? 何だ? マゾかよ、お前。それで、よくウチの兄さん殺したな。兄さんも、浮かばれねえよ」
どうやら、俺も末期の様だ。へへッ、と笑い声しか出てこない。これが夢にまで見た、仕返しかとくらいしか脳裏にも出てこない。
「あのさあ──、アンタ俺が死んだらどうするつもりだよ」
「そりゃあ、成仏させてやんよ」
少年の泣きそうな顔が、目に焼き付いていく様な気がした。

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