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幻滅デイリー
死亡予想図10
 酷い事を平気で言ってしまう君は、きっとそうする事によって自己防衛しているんだ。

 それが本当なら、「おぶって、お前の家に届けてやるよ。どうせ、畳の上──いや、フローリングの上なんかで死ねなさそうだからさ。ハハッ、何せ悪人だって自覚しているんだからな」と答えた俺は余程弱い人間に違いない。そして、あの外人と同じ質問をしてしまう俺の弱さは露呈する。どこの誰から始めたのかは解らないが、一番目の奴を見てみたいと心底感じていた。
「泣くよ、──眼球が蕩けて無くなってしまうまで」
「医者が、そんな事を言って良いのか。もっと、医学的に考えろよな」
はあ、と思わず溜め息を漏らす。
「泣いて欲しい、わけでは無いのですか?」
「ばーか、んなわけあるかよ」
多分、これが強がりというやつなのだろう。
「でも、実際泣くと思うよ。ぼくのお客様が、一人いなくなってしまうのだからね」
「酷い奴だ」
甘いマスクは、口元だけで笑う。
「まあ……、よく言われますね」
「絶対、泣けよな。目玉が溶けるまで、とは言わないけど」
俺は、やはり弱い人間なのだと思った。
「泣きますよ」
「約束だからな」
例え、破られたとしても構わない約束だが。

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あきゅろす。
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