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幻滅デイリー
死亡予想図8
 死んだら、どうするかなんて。まるで、すぐに死ぬ事が決定しているみたいじゃないの。
「悲しいじゃない……、嘘でもそんな事を言われたら」
「どうしましたか?」
わたしより、少し舌足らずの日本語。わたしは、英会話スクールに来ている。夫の海外出張が決まったので、わたしも着いていくつもりだから。夫は別にいいよ、とか言うけれど。だって、心配じゃないの。
「あのね、先生。わたしの旦那が、いきなり「もしも、俺が死んだらどうする?」って言うの」
「Oh,それはどこか体の具合が悪いのですか」
わたしは、左右に首を振る。
「そういう事じゃ無いのよ、何か「もしも」の話らしいわ」
「If、の話ですね」
「そうそう」
わたしは首を縦に振り、相槌を打つ。
「先生は、わたしが死んだらどうする?」
夫に言われただけでショックを受けた言葉を、英会話スクールの先生に投げ掛けてみた。すると、先生は自分の金髪を掻き上げて困った様に眉根を寄せた。わたしは、なんて悪い質問をしてしまったのだろう。あれだけ、悲しいと言っていたのにも関わらず。やっぱり、止めようと口を開けると先生は穏やかに喋り始めた。やっぱり、舌足らずだったけど。
「昔話の主人物の様に、良い人は死なないと思いますよ」
訊きたい事はズレてしまったけど、案外わたしはこんな答えを待っていたのかもしれない。

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