幻滅デイリー
要は、ね
「良いかい、言っておくが決して君の事を嫌いなわけじゃない」
嘘吐き。
「わたしはね、君の目が海より深く綺麗だという事をよく知っている。ただね、わたしはよりによって沖縄の海で溺れた事のある、神奈川出身のそれはそれは稀有な人間なのさ」
馬鹿じゃないの。
「それにね、わたしは君のその長い黒髪が綺麗だと思っているんだよ。だけどね、その髪を見ていると以前わたしを絞殺しようとした殺人鬼を思い出してしまってね」
完全に、馬鹿だわ。
「そうそう、君の指は白魚の様だね。細くて長くて白い、三拍子揃った実に良い指だ。しかし、わたしは幼い頃に両親と旅行を楽しんでいた時なのだがね。ある港で、新鮮な白魚を食べさせてくれるという話を聞いて行ったのさ。しかし、わたしは運悪くその白魚に当たってしまったわけだよ。つまり、食中毒さ。いやいや、全部君のせいでもないし君が嫌いなわけでもない。解ってくれるよね」
要は、それって。
[戻][進]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!