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幻滅デイリー
見えよ見えぬ人よ
「その後、男は発狂して死んだそうだ」
ふッ、と蝋燭の火を吹き消す。

 一つ、また一つと二人きりの空間で明かりが無くなっていった。

「しかし、発狂と怪談はイコールなのか?」
カタ、とまた一つ燭台を側に寄せる男。ぼんやりと、顔が暗がりに浮く。
「さぁ、必ずしもイコールとは言い難いんじゃないか」
「じゃあ、怪談じゃ無いのか?」
百物語をしているというのに、怪談を信じぬ男とはこれ如何にと肩を竦める。
「科学的に証明出来ないものが、怪談に昇華するんじゃね」
「適当だな」

 さて、残りは一本。

「君は自分で、見えない人種だと思っているらしいね。だけど、はっきり見えている人程、自分が見えていないと錯覚するんだ。普通の人間と同じ様に、確りと見えているせいでね。だから、見えない人種というのは皆勘違いをしているだけなのさ」

 ふッ、と消えたはラスト一本。鬼が出るか、蛇が出るか。それを知るのは、この二人の男のみ。

[進]

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