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幻滅デイリー
女王様、は我慢嫌い
「あなた、生意気よ」
ぐ、と人差し指と親指を擦りつける彼女。指の腹の間からは、とろりと血が溢れた。

「何してるのさ」
悦楽的な表情を浮かべ、人差し指と親指を見る彼女は禍々しくも神々しかった。まるで、『生殺与奪は、わたしだけの権利よ』とでも言いたげな。
「わたしの血を吸って、逃げようなんて百年早いわよ」
彼女はティッシュに、汚れた指先を擦り付ける。
「あぁ、もう、痒いわ。どうにかしなさいよ」
仕方の無い女だなと溜め息を吐いて、彼女が掻く手を退かし足の指の付け根に軟膏を塗り込む。
「掻きたいわ」
「掻くと、治りが遅れるぞ」
ほっそりとした長く白い脚は、滑らかに艶かしく誘っている様だった。思わず、生唾を飲む。
「でも、掻きたいのよ」
掻きたくても、俺が抑えさせている事に苛々しているらしい。
「駄目だ」
「じゃあ、良いわよ。あなた、上を脱ぎなさい」
「は?」
「速くなさい!」
苛々は絶頂に達したらしく、狼狽える俺を怒鳴り付けた。
「脱いだら、わたしを抱きなさい」
「え?」
シャツを脱いで彼女に近付くと、背中に生気の無い腕が回る。
「ねえ、どんなに痛くても騒いじゃダメよ」

 その瞬間、彼女は俺の背に爪を立てた。

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あきゅろす。
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