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幻滅デイリー
決明子の実話
 イヤホンから漏れるリズムが、静かな研究所に響いていた。

「へえ、乗りの良い曲だな」
「でしょー? 俺、結構仕事場でこの曲かけてるんですよー」
MDのケースに書かれた曲名と、歌手名を見る。ケツメイシ、とはなかなか変わった名前だと思った。ぼくの知っている決明子は薬草か、生薬のみである。
「先輩にも、片方貸してあげますよー」
腕を引っ張られて、隣の椅子に座る。そして、髪を掻き上げられてイヤホンを耳の穴に突っ込まれた。その瞬間、ピンと閃く。
「ところでお前、ケツメイシって何の事か知ってんの?」
すると、案の定知らないという顔をする。ぼくがやっぱりなと呟いて席を立とうとすると、引き留められる。
「はいはいッ、解った! 解った、先輩! ケツメイシは、猫目石の親戚みたいなやつっしょ? 宝石の仲間!」
「馬鹿たれ」
ぼくは、右手を挙げて興奮気味の後輩にデコピンを入れた。

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