[携帯モード] [URL送信]

幻滅デイリー
負け組探偵
 黙々と、煎餅を無心で食べる二人。部屋の中では、淡々と流れるテレビのニュースキャスターの声。
「先生、暇ですね」
「あぁ」
バリバリ、と煎餅を噛み砕く音。袋に入ったままの煎餅を叩いて割る音、袋を破く音。それが、何度も繰り返される。
「パーッと、デカい事件でも起こりませんかね」
「起こらないだろうね。例え起こったとしても、ぼくらは呼ばれないだろう」
「もう、浮気調査なんて嫌ですよう」
「でも、君は浮気調査に向いていると思うよ」
「向いていたとしても、嫌なんです」
平和だった。探偵が殺人事件の謎を解くなんて、まるでフィクションの世界。
「君はね、集中力の高さに自信を持つべきだ。実際問題、探偵に必要なのは集中力の高さと持続力だからね。張り込みが物を言うんだよ、本当」
「それ、探偵じゃなくて警察じゃないですか」
「んー、そうだねー」
再び、煎餅にかじりつく二人。どうやら、明日の天気は晴れらしい。
「やっぱりさ、探偵が考える事なんて二の次なんだよ。事件解決の鍵は、物的証拠」
「本職が探偵なのに、そんな事言ってー」
「君は、浮気調査嫌いなの?」
「嫌いですッ!」
「迷い犬や、迷い猫捜しも?」
「嫌いですッ!」

[戻][進]

19/29ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!