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幻滅デイリー
定番質問
 バタバタバタと廊下を走る音が聞こえてから、バンとドアが勢いよく開く。
「ね! 一つだけ無人島に持っていけるとして、何を持っていく?」
「あー、それ、よく聞くねー」
慌ててくる気配だったから、何かと思えばそれかいと閉じた本を開く。
「無人島なんかにゃ、行かないよ。しかも、何だその一つだけ持っていけるっていう権利は」
「んもう、答えてよー」
ぐいぐいとワイシャツを引っ張られる。
「止めろ、伸びるから」
「じゃあ、答えてよー」
何を持っていくか? 火か? いや、火種無くてはどうしようもないか。水? それより、水を濾過する道具が必要か。ナイフか? 錆びたり、折れたりしたらどうにもならないか。ん? その前に、この質問の意を理解すべきか。心にゆとりのある人間という印象を付けたいならば、本になるのか。チラリと彼女を見れば、キラキラと目を輝かせて此方を見ている。
「君を、連れていくよ」
「嫌」
即答だった。

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あきゅろす。
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