幻滅デイリー
彼女ト先生
ジジジ……、と古い映画のフィルムが静かに動き出した。
３………
２………
１………
今日ハ、所謂彼女ト医師ノ最後ノ会瀬ノハズダッタ。
「ウン、モウ具合ハ良イ様ダ」
医師ハ、抑揚ノ無イ声デ言ッタ。普段カラ、アマリ感情ノ起伏ガ無イ人ダッタ。今日モ、例ニ漏レナイ様デアル。
「先生、今日デ最後ネ」
シカシ、絹ノ寝間着姿ノ少女ハ名残惜シソウニ睫毛ヲ伏セタ。
「ソウダネ」
聴診器等ノ、医療器具ヲシマウ。
「サテ、ジャア作リマショウカ」
診察後、不気味ナ程ニコヤカニ笑ウ医師。少女ニハ、既ニ医師シカ見エテイナカッタ。
「エ、ダッテ、病症録ハ先程頂キマシタヨ。ホラ、此レデショウ先生」
自ラノ引キ出シカラ書類挟ミヲ取リ出シ、其ノ中カラ病症録ヲ出シテ見セル。シカシ、医師ハ其レヲ戻ス様ニ指示スル。
「此ノ先、作ル物ト言ッタラ決マッテイルダロウニ。意外ト鈍イナ」
向キ合イ、顔ヲ近付ケテイク。
「既成事実、ダヨ」
少女ハ、期待ト不安ニ押シ潰サレソウナ表情デ医師ヲ受ケ入レテイタ。
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