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幻滅デイリー
カニバルカーニバル
 くす、とフェミニンな雰囲気の男は笑う。
「ね、良い物揃えてますよお客様」
しなだれかかる様な、その恰好風情は男色家か。
「人を、食べた事あります?」
「しょっぱい、と聞く」
「あら、見聞から?」
「そうだ。人が人を喰らうなど、正気の沙汰ではない」
「お堅い人」
うふふ、と桃色の吐息を漏らしては扇情的に客を誘う。
「しょっぱいなんて、そんな幼稚な味じゃないのよ。蕩ける様な味わい、特に新陳代謝の良い赤ん坊は最高だわ。ただ、ミルクで育ったのは乳臭いけどね」
客は、興味深そうに聞いている。その様子に満足したか、男は客に体を預けながら続ける。
「牛や豚や羊も、なるべく若い方が良いわ。血も滴る様な、レアでね。あぁ、猿の脳味噌もそれなりだったけど。やっぱりね、人肉には敵わないわよォ。あら、食べる人間の顔が見たいって? 大丈夫、あなたもすぐに虜になるわ」
「しかし……」
「最初は、誰しも渋るものよ物は試し。飢饉で飢えを凌ぐ際にも、儀式でも、文化的にも食されてきたんだから」
誘惑に、誘惑を重ねていく男。客は、すっかり骨抜きにされていた。

「ねぇ……ん、そう、思うでしょ……? 人は、少しくらい、狂気を、背負ってなきゃ……ね」

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あきゅろす。
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