幻滅デイリー そんな、デート明け わたしは、たまに変って言われる。高校二年生で、仏像を欲しがったって良いじゃない。商店街の試食で、いっぱい食べても良いじゃない。消しゴムや、ダンベルや、耳掻きをコレクションしていたって良いじゃない。 「あのね。彼、あんまり楽しそうじゃなかったのかも」 「だなァ」 男友達は、バイクの整備をしながら言う。 「ラーメン屋がダメだったのかなァ。それとも、カラオケ断ったの? それとも、映画断ったのかなァ……?」 「ま、終わった事だ。気にすんな。第一、そんな小さな事に拘っている様な男は止めとけ」 油臭い手で、髪を撫でられた。わたしは、油臭いのが好き。実家の、バイク屋を思い出すから。 「ね。彼女と、いつもどんな事話す?」 「あァ? 男と女には、言葉なんか要らねーんだよ。覚えとけ」 「かっくいー!」 「ははは」 彼は、綺麗な看護婦さんと付き合っている。 「でさァ、何でお前ら二人は俺にデートの報告なんかするわけ?」 「あ、彼も来たんだー」 「もう、勝手にしろ。ただな、男ってのは馬鹿みたいにロマンチストなんだよ。特に、お前の男はな。だから、たまには流されてやれ」 そう言って、彼は目元で笑った。 [戻][進] |