幻滅デイリー そんな、初デート 「付き合って下さい」と言ってから、初めてのデートだった。 「ごめんね、待った?」 「いや、俺も今来たところだし」 待ち合わせは、駅の時計前。制服姿しか見た事の無い彼女に、いつも以上に緊張したり。尚且つ、短すぎるスカートにますますドキドキしたり。我ながら、初々しいと思った。 その彼女は不思議というか、見た目より機能重視というか。「昼は、フレンチにする?」と訊けば、「あ、わたし美味しいところ知ってるんよ」と嬉しそうに言う。 ついて行けば、小さなラーメン屋だった。正直に言えば、色んな意味で驚いた。 「ここ、ネギ入れ放題なんだよ」 とか笑って言うものだから、ただ頷いて食べた。 「ただ、狭いけどね」 その瞬間に、互いの膝がぶつかる。 「ね?」 「確かに、狭いね……」 ラーメンの味なんか、全く解らなかった。醤油だったか、塩だったか、味噌だったかなんてどうでも良かったのかもしれない。 「この後、どうする? 映画? カラオケ?」 すると、彼女は首を振った。 「だって、映画もカラオケも喋れないから。それより、何か話して。散歩しながら、行こう」 財布には優しいけれど、今まで付き合ってきた女の子とは全く違う彼女だった。 [戻][進] |