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幻滅デイリー
会談中、怪談
 信じよ、さらば見える事も出来ん。

「幽霊なんて、いるわけが無い。非科学的だ、こんなに文明が発達しているというのに!」
眼鏡をかけた、白衣の男が怒鳴る。黒板にチョークで『全ては科学で、証明可能』と書いてある。
「それでも、科学で証明出来ない事もある。これを、見て貰おう」
ぴら、と一枚の写真を懐から取り出す。そこには俗にUFO、と呼ばれる物が写っていた。
「ふん、逆さまの灰皿じゃないか!」
「じゃあ、これはどうですか?」
海辺で、子供達がはしゃぐ写真。何とも微笑ましいが、一つだけ腑に落ちない点があった。
「ほら、ここの子供の足が無いでしょう?」
トントン、と真ん中の少年の左足を指す男。
「光の屈折率で、そんな物は変わる!」
「では、この少年は写真を撮った1ヶ月後に左足を切断する程の事故に遭った。と、言ったら?」
下から、見上げる様に眼鏡の男に顔を近付ける。
「ふ、ふん。偶然だ、偶然に決まっている」
「まぁ、偶然の一言で片付ける事も出来るでしょう。しかし、言いましょう。俺は、幽霊なんですよ」
そう言って、男は消えてしまった。



 残ったのは、二枚の写真と眼鏡の男だけ。

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あきゅろす。
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