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幻滅デイリー
計算内です
 わたしが担当している作家先生に、新しいアシスタントさんが入った。彼女は優秀で、男のわたしでも敵わない。
「計算内ですから」
この一言で、すっきり解決してしまう。以前、わたしが原稿を受け取りに来た時もそうだった。訪ねれば、すぐに茶を出されて原稿の入った袋を渡される。
「凄いな」
「計算内ですから」
才色兼備とは、正にこの事だろう。彼女は、美しくも聡明だった。作家先生も優秀な彼女に甘え、自分の書いた作品のデータベースとしても活用していた。

 しかし、そう長くは続かなかった。
「計算内ですから」
血にまみれた包丁と手を見てから、わたしにゆっくり微笑んだ。側には、既に息絶えた男が倒れている。あぁ、高そうなカーペットも真っ赤だ。
「何で、君がこんな」
「計算内ですから。この人が、先生の作品を盗作しようとしていたから」
「でも、こんな」
彼女によって殺された先生も、わたしが担当していた作家先生だった。この先、一体どうすれば良い。





「大丈夫です、計算内ですから」
彼女は、にっこりと笑って自らの心臓に包丁を突き立てた。

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