[携帯モード] [URL送信]

幻滅デイリー
三面卵噺
 大野は、目玉焼きが好きだ。それも、卵を使った料理の中で一番。
 中野は、玉子焼きが好きだ。それも、卵を使った料理の中で一番。

「絶対、目玉焼きだ! あの、白と黄のコントラスト。とろり、とした半熟の滑らかさ。あと、醤油と白米が有れば申し分無い!」
ごくり、と喉を鳴らして唾を飲む大野。それに対して、ふんと鼻を鳴らす中野。明らかに、馬鹿にした様な目付きである。
「絶対、玉子焼きだ! あの、煌めく様な黄金にも近い黄色。ふんわりとした、柔らかな舌触り。醤油や白米なぞ無くも、幾らでも喰えるわ!」
互いに睨み合い、うううッ……と唸り合う。そして、その場にいた小野に二人で掴みかかった。
「小野は、どう思う!」
ぽわーん、と常に半分夢見心地の小野は二人を見た。彼は所謂不思議くんではあるが、大野と中野の友人であり尚且つ近くにいたので、これも仕方無いのだろう。ぐぐっ、とかなりの剣幕で小野に詰め寄る二人。しかし、小野はこれでもかと落ち着きはらっている。むしろ、気にしていないのかもしれない。そして、ようやく小野は口を開く。
「俺はー、んー、プリンが好きだけどー?」
大野と中野がずっこけたのは、ほぼ同時だった。

[戻][進]

2/29ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!