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幻滅デイリー
可哀想、って言えば
「さみしい」
口に出して言うと、尚更独りが辛くなるものである。窓から入る風がカーテンを揺らし、寒さを感じてしまう。くしゃみをして、鼻をかむ。

「からっぽだ」
何も無い状態の、ぼく。彼女もいない、彼もいない、あなたもいない、君もいない、ぼくもいないから。ぼくは、単なる容器に過ぎないんだ。

「くらい」
キャンバスを埋める、色くらいなら解っている。白いまま、何も描いたらいけない。世界は暗い暗い、白のまま。黒なんかで埋めてしまったら、つまらないだけ。病的清潔感の白で、埋め尽くしてしまえば良い。

「いたい」
まるで、体に穴が開いてしまった様だ。頭の天辺から長い杭を打たれて、そのまま地面に繋がれてしまうんだ。ぼくは、もうどこへも行けない。重い鎖をぶら下げた、無期懲役の囚人。

「かなしい」
ぼくが、彼女が、彼が、あなたが、君が。主観的に見て? それとも、客観的に見て? ぼくは、とにかく悲哀にまみれて紛れた。

「嗚呼」
ぼくが、彼女が、彼が、あなたが、君が幸せになれます様に。










 みんな、消えて無くなってしまいます様に。不安も、嘆きも、ぼくも、世界も消えて無くなってしまいます様に。

[進]

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あきゅろす。
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