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幻滅デイリー
博士と助手 Re;Cook
博士「助手よ。今日は、わたしが料理を作ってみた」

相変わらず白衣姿の博士は腕を組んで気怠そうに壁へと体を預けながら、リビングで家計簿にペンを走らせる助手に声をかける。すると、助手は急にガバッと顔を上げて呆然としてから立ち上がり謝る。

助手「え、うわ、すみませんッ! あ、有難う御座いますッ!」

博士「まあまあ、席に着いて食べたまえよ」

博士は、親指でキッチンを示す。

助手「うわあ、楽しみですよ。メニューは、何ですか?」

助手は嬉しそうに、博士の方へと近付きながら訊く。博士は、それを見て妖しく笑った。

博士「ん? ビーフカタストロフだ」

助手「へえ……、ビーフストロガノフ……え? ちが、ちょ……ッ、え、今、カタストロフって言いました?」

字面では似ているが、助手はメニューを言い直して文字を咀嚼する。そして、博士はもう一度メニューを口にした。

博士「ビーフカタストロフ、だ」

それを聞き、助手は博士の肩に手を置いて真面目に訊く。

助手「あの、つかぬ事を伺いますが。カタストロフって、破局ですよね? 直訳すれば、牛肉の破局ですよね? 何で、目を反らすうううッ!」

博士「助手よ。貴様に拒否権などという、権利が認められていると思っているのか? 一度は喜んだのだ、人類の未来の為にも喰え」

助手の手は強かに打ち据えられ、退いたと同時にキッチンへと押し込まれた。そして、そのまま床へ捩伏せられる。

助手「何、その人体実験的発言ッ! え、あ、ちょっ、うわ、うわあああーーーッ! 明らかに、牛肉のサワークリーム煮じゃねしいいいッ! ぎゃあああーーーッ!」

その後、助手は一ヶ月の入院を余儀なくさせられたのだった。

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