幻滅デイリー
博士と助手 Re;Suite
パラ、と博士は助手の男性誌をめくっていた。助手は実に気まずそうな顔で、下を向いている。博士はそんな助手を見ては、楽しそうに例の男性誌を朗読する。
博士「女を口説く時は、甘い言葉か。成程、一理有るな。わたしも多分、甘い言葉には弱い」
助手「……やはり、そうなんですか……」
博士「何か、言ったか助手?」
ニッコリと、助手に微笑みかける博士。そして、飽きたらしく男性誌をテーブルに置く。
助手「は、博士ッ!」
ぐい、と博士の手を握る助手。
博士「何だ?」
助手「毎日、俺があなたにご飯を作りますからッ!」
博士「何を今更、当たり前の事を。それよりも、いつまでわたしに触っているつもりだ」
自らの手を握っている手の甲を、キリキリと抓る博士の指。
助手「す、すみません……ッ!」
しかし、助手は幸福を噛み締めていた。
博士「だが、もう少し気の利いた事を言えんのか。雑誌を見習えとは言わん、わたしの好みが未だ解らんのか」
博士は、フウッと溜息を吐く。そして、助手はハッとした。
助手「砂糖をたっぷりと使った生クリームを零れる程に乗せた、口の中で蕩けるくらいに滑らかなストロベリーショートケーキ……」
その言葉に博士はとろんとした目になり、頬を赤く染めた。
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