[携帯モード] [URL送信]

幻滅デイリー
伯父宛
「何故、あなたは……ぼくなんかに執着するんですか」
悲しいけれど、それが嬉しいのは何故だろうか。しかし、あなたがぼくに執着する限り、ぼくは未だ生きていける。
「………」
「ああ……、答えなくても良いですから」
「………」
縛られ、打たれ、塞がれて。吊られ、引かれ、絞められて。刺され、裂かれ、刔られて。人間としての尊厳はとうに無く、身体も精神も蝕まれて。昔は、何故こんな事をされなければならないのかと、よく考えていた。訊けば、天涯孤独で拾われたぼくには何かを言う権利すら無いらしい。しかし、ぼくはその言葉に酷く納得していた。何故なら、ぼくは奴隷にも等しいからだ。養われ、逆らわず、命令に従う。擬似的な親子なんていうものは、何処だってそういうものだと思っていた。
「ただ──ぼくが歳をとったら、あなたはどうするのでしょうね」

[戻][進]

21/29ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!