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幻滅デイリー
イタコ探偵
「はァん? お前が、イタコ探偵だって?」
刑事は、鼻から抜ける様な神経を逆なでる台詞を吐く。まるで今さっき恐山から出て来た風貌に、ただ虚勢を張っていただけなのかもしれないが。果たして、イタコなのか探偵なのかよく解らない少女は、瞼を閉じて現場で梓弓の弦を弾く。
「来たりませ、来たりませ……」
それは方言なのか呪詛にも近いのか、常人には理解しがたい言葉が並べられていく。刑事には、聞き取れなかったのだろうか。彼はただ、腕を組んで彼女を見ているだけだった。
「犯人は、未だ死んでいない様ですね」
「被害者を殺して、すぐに死ぬ加害者なんかたかが知れているだろうが! この馬鹿! さっさと引っ込め、小娘ッ!」
少女に高い位置から、罵声を浴びせる男。
「なら、次は検死の為に医者の霊を呼びます」
「……検死は、とっくに済ませてある。それに、産婦人科の医者を呼ばれてもかなわん。もう、良いからさっさと帰れ」
「いくら何でも、それはありませんよ。マリリン・モンローを呼んでおいて、日本語で話すくらいにありえませんよお」
あはははは、と笑う少女にゲンコツをお見舞いする男。
「黙れ。呼ぶなら、被害者を呼んで犯人を訊くぐらいしてみろ!」
すると、少女はポンと両の掌を打ち合わせた。
「成程、その手がありましたね」
刑事が勢いよくずっこけたのは、言うまでもない事である。

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