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幻滅デイリー
最新の流行
 ピッ、とテレビの電源を入れる。カチッ、とラジオの電源を入れる。パチッ、とパソコンの電源を入れる。ガサ、と新聞を広げる。どのメディアからも、物騒な事件しか聞こえない。

 刺したり刺されたり、殺したり殺されたり、死んだり死なせたり。今は一体、何世紀だ平成何年なんだ。どれだけ、原始的なんだ。いや、むしろ原始の方が人間同士の結束は強かったのではと考えさせられる。しかも、大して驚かなくなった自分がいる。遠い、遠い異国の話の様に聞こえる。昔々、大分昔の話の様に聞こえてならない。

 子が親を殺し、親が殺す。人が人を殺すという状況がイカレているし、人が人を裁くという状態がイカレている。馬鹿馬鹿しい、身近でなければ恐怖も感じぬ自分が。そうして、喜んでメディアに取り上げる人が。
「きっと、世界中が病んでいるのよ。他人が他人をおかしい、なんて言えないわ。あなたも、わたしもおかしいんだから。世界ごとおかしいんだから、気に病む必要なんて一切ないのよ」
狂気に満ちた自分が、自分を抱いているなんて──滑稽な姿。
「少しくらい狂っていなきゃ、生きていけないわよ」
「そうだねえ」
「普通なんて、正常なんて消滅すれば良いのに」

[進]

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あきゅろす。
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