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幻滅デイリー
ぼくたち男の子5
 吉里はブツブツと何かを呟きながら、学生鞄の中からごてごてに装飾されたフランス人形を取り出して、その髪をブラシで梳いていた。どう考えても、その姿は病んでいる様だった。
「第一……、女なんてどうでも良いんだ……。母さんに似ているなら、どうだって良い……」
「お前なあ、どうしてそんなに暗いんだよ。母親がお前と父親を捨てて逃げたって、お前に落ち度はねえんだろ。女は金持ちで美人、それ以外無いね!」
にやにやと笑う、制服を着崩した渡辺。すると、吉里は無言で鏡を差し出す。
「うん、鏡を見てから言えって事だよねえ。あっはっは、おや渡辺くん。そんなに怖い顔をしないでよ。それにしても、みんな子供ですよねえ。ねえ、先生?」
そこで、自分に振るかと高橋を見ながら顔を引き攣らせる教師。渡辺は高橋に飛び掛かろうとしていたが、それを沼岡は羽交い締めにして押さえ付けていた。
「た、高橋くん?」
「でも、やっぱり寝盗るなら人妻でしょう」
そう言って、高橋は一人うんうんと頷く。教師は悲痛な顔で、叫んだ。
「本日限りで、辞めさせて頂きますッッッ!」

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