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幻滅デイリー
離婚記念日
 今日、正式に妻と離婚した。親権は三歳になる娘と一緒に持っていかれてしまい、養育費は要らないから二度と娘には会わないという事を約束させられた。何が、自分が腹を痛めて産んだ娘だ。子供が、自分の所有物みたいに言いやがって。
「……はあ」
何がいけなかったのか。妻の為に娘の為にと休みも取らず馬車馬の様に働き、給料は全て家に入れていたのに。これでは、もう生きる励みも無いじゃないか。ちょうど、ここは橋の上だし。死ぬには、きっと良い具合だろう。すると、後ろから声をかけられる。
「どうしたんだよ、こんなところでー。俺、今にも死んじゃいそうですうみたいな顔してー」
「お前か……」
口一杯に鯛焼きを頬張りながら、幼なじみは笑っていた。幼なじみはニートとかいうやつで、俺はこの間まで「仕事を見つけろ、結婚しろ」と説教していたのにこの様だ。全く、情けないにも程がある。悲しくて情けなくて、思わず上を向く。しかし、上を向いても涙は目尻から頬に伝った。
「仕方ねえなあ、ほら一つやるよ」
そう言って、幼なじみは俺の口に鯛焼きをグイッと詰めた。
「もがッ?!」
「何て言うの、ほら。世の中、なる様にしかならないって言うじゃん。何があったか知らないけどさ、家にカレーあるから食べに来いよ」
何もかも、彼には見透かされている様だった。
「その鯛焼きを食って、敢えてのカレーかよ」
「バーカ、家のカレーは美味いんだぞ」
「知ってる。って、今から行っても良いのか」
「ん、大丈夫大丈夫」
明日から、「結婚しろ」と彼を急かすのは止めようと思った。そして、俺は情けなく幼なじみの後ろを小さくなって着いて行ったのだった。

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あきゅろす。
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