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幻滅デイリー
コーヒーの手引き
 さて、若人に敢えて訊こう。美味しいコーヒーの飲むには、どうすれば良いだろうか。

 カップを暖める? 豆からの栽培は、無理だろうがね。なら、自力で豆を挽く? 君のその細腕では、無理だろうね。水出しの様に、ゆっくりと時間をかけて入れれば良い? 馬鹿を言うなよ、わたしはすぐに飲みたいんだ。ウォーター・ドリップの様に、八時間近く待っていられる余裕はないんだ。こう見えても、忙しい身でもあるしな。は? インスタント・コーヒー? 缶コーヒー? 君、更に減給されたいのか。わたしは、これでも味の違いが解る男なのだよ。君が冷めたコーヒーを電子レンジで温めたのも解ったし、インスタント・コーヒーを出したのも当てただろう。君には、学習能力も無いのかね。外を歩いてきて寒いし、喉も渇ききっているのだよ。さあさあ、一刻も速く出してくれ。そして、美味いコーヒーを。もう、待ちくたびれてしまうよ。これ以上、わたしを喋らせないでくれないか。そして、無駄口を叩くくらいならばさっさと手を動かし給えよ。

 さて、と。もう、答えは解っただろうね。これを読む若人は、わたしの愚かな助手とは違うだろうからな。美味しいコーヒーを飲む為には、他人を使って入れさせる事。ただ、それだけだ。

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あきゅろす。
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