幻滅デイリー 好みの人 わたしは多分、ダサい男が好き。 あえて、バレンタインデーにデートをしてやった。ちなみに、わたしと彼は付き合っていない。きっと、彼はわたしを何とも思っていないから。それに、彼はその日が何の日だかも解っていないだろうから。 「チョコレート、貰ってあげてもいいわよ」 デートの待ち合わせに遅れて来た彼は、ジャージ姿だった。わたしと言えば、いわゆる勝負服を着て様々な相手を拒んで断って来たのに。 「………」 「な、何よ。ふん、帰ったって良いんだから」 すると、ポケットを探って手を出される。 「な、何な……」 ぐい、と手首を引かれて掌にマーブルチョコが三粒。 「そのまま、って」 馬鹿と言うか、ワイルドと言うか。でも、前者の方だ。 「食べないのか、台所に出しっぱなしだったのだが……」 「そ、それに! 女を待たせるなんて、どうかしてるわ! 男のくせに、もう馬鹿馬鹿! 寒いじゃないの! アンタのせいで、風邪でもひいたらどうしてくれんの!」 すると、ジャージの上着を脱いで差し出す。ジャージの下は、偽物の半袖ブランドシャツだった。しかも、Burbellyって明らかにだし。何で、気付かないのかしら。 「じゃあ、行こう」 わたしは、何でいつもこういう奴に惚れてしまうのかが解らない。 [戻][進] |