[携帯モード] [URL送信]

幻滅デイリー
千里眼少年
 ついー……、ぽた。

「痛い、マジで目痛い」
「目、赤いよ。保健室行ってきなって」
「うーん……」
友人の勧めにより、左目から溢れる涙を押さえて保健室へと向かった。

「あぁ、結膜炎ですね。目薬差して、休ませれば大丈夫でしょう」
へなちょこ玩具眼帯を受け取り、目薬を差してもらった後に着ける。
「寝て行きますか?」
「いえ、授業遅れると後々大変なんで」

「片目で平気なん? ノート、代わりに取っちゃるき。貸しいや」
「うーん……」
やっぱり、景色が違う。黒板、先公、窓の外、ノート。見えない、死角が生じてしまうらしい。
「ノートは、自分で取れるから平気」

「次、体育は流石に無理だろ」
「体育、何だっけ」
「サッカー」
「……休む」
「ま、保健室で寝とけ。先生には、伝えとくし」
「うーん……」

 保健室の先生は、親切にアイマスクを貸してくれた。何か、目が描いてあるけど。
「んじゃ、ベッド借りまーっす」
窓側のベッドからは、グラウンドが見えた。ベッドに腰を下ろし、眼帯をアイマスクに代える。
「はー、何も見えね」

 真っ暗。

 だけど、聞こえるクラスメイトの声。手に取る様に、解る状況。
「俺って今、千里眼?」

[戻][進]

3/28ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!