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幻滅デイリー
博士と助手 Re;abc
助手「あ、の」

博士「何だ」

 助手の前には、地味なラッピングをされた大きな箱と派手なラッピングをされた小さな箱があった。

助手「どちらか、って。あの、いわゆるバレンタインを彷彿とさせるプレゼントで構わないのですか」

博士「さあな」

恥じらいを少しも見せない博士が気になりつつもあったが、助手は嬉しさに目頭を熱くさせた。甘い物は苦手であるが、この長い間連れ添った愛しい人から貰える物なら、それこそ自らが甘んじて受け取ろうと思っていた物である。

博士「まあ、取り敢えずは二択だ。大きな箱か、小さな箱かを潔く選びたまえよ助手くん」

ニッ、と口元だけを歪ませて博士は笑った。『舌切り雀』では欲をかいて大きな葛籠を選んでしまった婆が化物妖怪怪物の類いに襲われた、というのはセオリーでもある。それをふと思い出した助手は、まさかと思いながら博士に訊いた。

助手「箱の中には、それぞれ何が入っているのですか」

博士「うむ。大きな箱には生物兵器、小さなには化学兵器だ。ちなみに、もう一つあるのだが。それには、か」

助手「うわあぁぁぁあああッ!」

 助手は選択肢という一見、自由を認められた行動に愕然としていた。そして、博士の前ではセオリーも関係が無い事に改めて気付かされたのであった。

助手「バレンタインなんか、無くなっちまえ馬鹿野郎ーーーッ!」

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