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幻滅デイリー
夢落ち
 ハッ、と目が覚めた。そこはベッドの上で、枕は腹の横まで飛ばしていた。すると、地震が起こる。ぐらぐらぐら、とベッドのスプリングを伝って体が揺さ振られる。まるで乗り物酔いの様に、三半規管を支配する。なるべく遠くを見ようと上を向くと、白蟻が天井からバラバラと落ちて蒲団に乗る。
「うわああぁあッ?!」
慌てて、前のめりになりながらベッドから飛びのいた。そのまま、揺れも気にせず自室から駆け出す。廊下を走り、階段を飛び降りる。リビングには、誰もいなかった。当然である、平日の正午近く。家族は仕事、イレギュラーとも言える大学生のぼくだけが休日の様なものだ。やがて、揺れが収まる。リビングの天井は、吊り照明がゆらゆらと揺れていた。ホッと胸を撫で下ろし、膝をついてテレビの電源を押す。画面の上部には、神奈川津久井 震度14と表示されていた。

 携帯電話の着信メロディが鳴る。ぼくは、ゆっくりと手を伸ばしてそれを取った。
「はい……」
電話の向こうは、父だった。
「もう12時だぞ、そろそろ起きたらどうだ」
時計を見れば、2008年02月11日 AM12:09と表示されていた。

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あきゅろす。
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