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幻滅デイリー
WRO_2
「少しくらい、人間は馬鹿な方が良いのよ」
彼女は、物悲しそうに言った。高い塔の硝子窓に暖房で熱くなった頬を押し付けながら、少女であり総帥である彼女は続ける。
「人間は、無駄に賢くなってしまったの。それ故に、とても畏い生物になってしまったわ。さて、これを解決するには一体どうしたら良いのでしょうね。いえ、わたしは解っているの。あなたに訊かなくとも、わたしのすべき事くらい知っているもの」
「流石です、総帥。それでこそ、世界破滅機構を背負って立つお方」
男は片膝をついたまま、少女を誉め讃える。
「有難う」
そう言って、少女は男の肩を蹴る。しかし、力の差は歴然としており、びくともしなかった。
「嗚呼、有り難き幸せに御座います総帥」
「礼には及ばないわ。さて、地球の人口を減らす為に核でも撃ち込もうかしら」
少女は先程とは打って変わり、クスクスと楽しそうに笑う。
「わたし、地球の人口は今の四分の一程度で間に合っていると思うの。違うかしら」
決して、ノーとは言わせない雰囲気を少女は醸し出していた。そして、男は答える。
「全く以て、その通りで御座います総帥」

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あきゅろす。
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