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幻滅デイリー
金沢ちゃん
「よう、バイト代入ったから奢ってやんよ」
手を挙げながら後輩に言うと、彼は目元だけで笑った。その笑顔が見たい為に、俺は頑張ってしまうんだ。たかが先輩後輩の中だが、声をかけてあげたくなるのが金沢という後輩だった。
「雀の涙程なのに、気の毒な」
「……気の毒って、言うなあああッ!」
彼女が、そう言うとは思わなかった。あのムカつく同級生の横浜と、同じ事を言ったのだ。もう、ショックで立ち直れそうにも無い。横浜と口元だけで侮蔑した笑いと、彼女の目元だけの優しい笑顔が段々と重なる。
「だ、だって、気の毒だと……」
「また、言ったあああーーーッ!」
「なッ、じゃあ、何と言えば良いんですか?!」
何と言えば、って。
「強制したいわけではありませんが……、あ……有難う……って」
すると、彼女は「何だ、そんな事」とホッと一息ついてから言った。
「先輩、金沢では『気の毒な』と『有難う』は同意語ですよ」

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