幻滅デイリー サブカルチャー娘 ガッシャン、と酷く耳障りな音が響いた。どうせ、また彼女だろう。 「ドジというか、間抜けというか、鈍いというか、運動音痴というか」 ジャージ姿で顔面から転んだ同級生に、手を差し延べる。 「ほら」 「うう……っ」 俺の手を掴み、立ち上がる。そして、ジャージに付いた土を叩く。 「体育の時間も、眼鏡をかけたらどうだ?」 「アンタみたいに、わたしはそんな視力悪くないもん」 そのまま、また倒してやろうと思ったがやめておく。 「しかし、頭は良いくせに運動音痴って酷くないか」 「うっさい、バカ! 運動音痴って言うな、理論は解ってんだから」 ぜいぜいと肩で息をしながら、ハードル走の列へと並ぶ。 「もう、転ぶなよ」 「受け身は取れるし、踏み切るタイミングだって計算出来てるわ」 ふん、と他人を突っぱねる態度は相変わらずだと思う。それから、負けず嫌いという姿勢。 「しかし、鈍い」 ハードルに引っ掛かって転ぶ後ろ姿を見ながら、俺は溜め息をついた。 * 「大丈夫かよ」 列に返って来た彼女に訊くと、ジロッと鋭い目付きで睨まれた。 「大丈夫だもん、お兄ちゃんだって萌えだって言ってたもん」 どうやら、駄目らしい。 [戻][進] |