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幻滅デイリー
電話恐怖症
 電話が怖い。いつかかってくるか解らないし、その呼び出し音は心臓に悪い。一人暮らしなので自宅には固定電話を置かないから、携帯電話を持たなければならない。そもそも、電話というのは呼び出される為に傍に置いているのではないかと思ってしまう。

「着信音を、オルゴール調にしてみたら?」
そういう問題では無い。そして、そんなもので解決する問題では無い。
「ぼくの着信音は、パッヘルベルのカノンだよ。しかも、君の言った通り元からオルゴール調」
「へえ」
カチカチと携帯電話のキィを押しながら、応える彼。どうやら、メールのやり取りをしているらしい。
「……真面目に聞いているのか、君は」
「ああ、うん勿論。君は電話恐怖症なんだね、一体何が怖いんだか解らないんだけど。こんな便利な物に、クレーム付けるなんて解らないけど」

 一番怖いのは電話先の相手が、ぼくの知っている相手かどうかという事だけれど。

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