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幻滅デイリー
猫の話
「あ、猫だ」
「言わなくても解る、あれは雌の三毛猫だ」
「相変わらず、お前は捻くれてんな」
「言わなくても解る、俺はそういう人間だ」
「ああ、もう解ったから解ったから」
彼は猫の鳴き真似をしながら、しゃがんで片手で呼び寄せる。
「可愛いな、ほれ煮干し食うか?」
この男は凄い、と素直に思った。何しろ、猫と会話をしているのだから。ポケットから、さっきまで食べていた煮干しの袋を取り出して与える。猫は俺を気にしながらも、彼から与えられた煮干しを食っていた。
「お前の様な奴がいるから、駄目なんだ」
「は?」
全く解らない、という顔で俺を見上げる。
「野良猫を餌付けるならば、飼え。適当に餌をやったりするから、俺の家の近所に猫が増える。責任も負わないのに、生き物を甘やかすな」
「……正論だ」
「当たり前だ」
彼の足元を見ると、例の三毛猫が身を擦り寄せていた。俺は、シッと追い払う。
「じゃあ、お前は俺の責任も負ってくれんの」
えらく真面目な顔をして言うものだから、俺も真面目な顔をして言ってやった。
「家庭内で不和が生じた場合、鬱憤を晴らす為の温かく柔らかな家畜になるというならば考えてやらんでもない」

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あきゅろす。
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