[携帯モード] [URL送信]

幻滅デイリー
三田と中村のはなし
 三田の両親も祖父母も、兄弟姉妹も口を揃えて彼はクリスマスの晩に外へ一歩も出なかったと証言した。
「ほらー、だから俺は昨日ずっと家族と過ごしたって言ったじゃん。中村のうたぐり屋」
「だったら、何で俺が窓を開けて電話するのを知ってんだよ」
三田の実家でケーキをご馳走になりながら、ぶつくさと文句を言う。三田の家庭では珍しい事に、クリスマスにはアイスケーキを食べるらしい。まあ、飽きなくて良いとは思うが少し寒いのが難点だ。
「んー、大学帰りに見た事あったし」
「ああ、そう……か」
夢、だったのか。本当に夢だったのか、一応話してみるかと頭の中で考えを巡らせる。
「どうした、中村? ケーキ、まずいのか?」
「いや、あの、うん、美味いよ……」
一人暮らしではケーキが余ってしまうから買えないので、三田の心遣いが有り難かった。
「三田は、サンタクロースっていると思う?」
一家全員が一瞬ギョッとした様な気がしたが、すぐに三田は答えた。
「いるよ、いると思ったらいるんだ。第一、いないって決め付けたら何かつまんないじゃん」
三田は、底抜けに明るかった。だから、思い切って訊いてみた。
「じゃあ、三田はサンタクロースなんだろ?」

[戻][進]

25/31ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!