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幻滅デイリー
人生バラ色ッ!
「ふふッ」
電車内で二人組の高校生の、眼鏡をかけた少年が笑う。それを、単語帳を片手にした少年がチラッと見た。
「何笑ってんのさ、気色の悪い」
「ちょ……っ、今軽くジャブ入れたべ。まあ、良いや。明日から、冬休みの恩赦という事で許してやろう!」
一人腕を組み、鼻息荒くニタニタと笑う。
「別に良いよ、許してもらわなくたって。お前、非力だし。どうせ、家ではゲームかアニメかマンガだろ」
「うるへー! 明日から俺の毎日は、バラ色だぜい!」
「でも、冬休み明けは試験だぜ」
ぺらぺらと単語帳をめくり、静かに言う。そして、ふと思いついた様に続ける。
「っていうか、バラ色って何色だ。黄色か、ピンクか、紫か、青か、それとも白か」
すると、眼鏡の弦を押し上げながら何を今更と少年は答える。
「バラって言ったら、赤に決まってんだろ。『情熱の赤いバラ』だろ」
「それは、思い込みだ。りんごは、赤だけでは無いのと一緒だ。ブドウだって、紫色だけでは無いはずだ。それに、人間は白人だけか? さあ、どうだ。言ってみろ」
「屁理屈だ! 屁理屈野郎! 陰険! 淫乱! 変態! ムッツリ!」
単語帳を持った少年は無言で、相手の眼鏡のレンズに指紋を付けていた。

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