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幻滅デイリー
悪い書生
 伯父さんが、綺麗な男の人を連れて来た。色が白くて、背の高い、細身の人だった。どうやら、書生というらしい。伯父さんは、その書生に相当入れ込んでいた。書生の立場にあったのにも関わらず、あえて家政婦を雇っていた。

「君は、清助くんだったね」
「そうですけど」
綺麗なだけで無く、迫力もある人だった。
「君の伯父さんは、変わった御趣味がある様だねえ。いや、悪くは無いけれども」
くすくすと笑いながら、厭味を含んだ様な物言いをする。
「君も、伯父さんのお手付きなのかな」
「何が言いたい」
じろりと睨むと、彼は出した手を引っ込めた。
「ふふ、ぼくは君の方が好きだよ」
いくらステイタスとして書生を置いても、あんな奴が中央官僚になれるはずも無い。伯父さんは、何故あんな書生を家に置いているんだろう。
「ねえ、君の伯父さんはぼくに何をしているか知ってるかい」
「知りませんよ、伯父は伯父です」
「ふふ、知らない事が幸せだという事だね」
気色が悪い、ただそれだけだった。彼が笑って、伯父やそれ以外の老若男女を虜にする事も。

 だが、彼の入浴を覗いたり、彼と枕を同じくする伯父も同時に気色の悪さを感じていた。

 ぼくは、騙されない。

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