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幻滅デイリー
ナルシスト彼女
 そや、その日は、ええ夕焼けやった。明日は、晴れやなと彼女と言い合ってん。

「自分、好きな奴おるんか?」
「いるよ」
眩しい笑顔で、答えられてん。気になって気になって、しゃあなかったから訊いたんや。
「誰や?」
「自分」
じ、自分って、俺の事かいなと内心確認した。

※大阪では、相手も自分の事も「自分」と言ったりする。

 今思えば、彼女は東京人やった。それを考えれば、彼女の好きな奴は俺では無かったっちゅう事やんか。
「ちょ……っ、ホンマ、自分なんか?」
「うん。自分だよ、自分自身。君も、わたしの事が好きなんでしょ。わたしも、わたしの事が大好きよ」
東京行きの電車に、俺だけ乗れなかった。

 俺の初恋は、その日に終わった。

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あきゅろす。
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