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幻滅デイリー
季節、先取り?
「花火、しよっか」
幼馴染みの彼女は、浴衣姿で言った。ちなみに、本日ゴールデンウィーク最終日。
「だから、言ってるけど早すぎだっての。花火なんて、どこにも未だ売ってねぇぞ」
花火って、そういやどこに売ってたっけ。小さい頃は、駄菓子屋で鼠花火とかロケット花火とか買ったと思い出す。あ、駅近くのコンビニならあるかもしれない。いや、まぁ無い確率の方が飛び抜けて高いけど。
「大丈夫よ、だって去年の残りがあるもの」
「良いけど、火が着くのかよ」
「やってみなけりゃ、解んないわよ」



 何だかんだしているうちに火が着き、バケツに水を用意して花火を楽しむ。
「ずっと、こうしていたいわ」
「俺も」
花火の光に照らされる、浴衣姿。
「でも、ダメなの。帰らなきゃ」
「そうか」



「ただいま」
実家とも、また今日でさよならだ。帰るなり、母親がキッチンから顔を出す。
「どこ行ってたの」
「恭子のとこ」
「ちょっと、恭子ちゃんって去年の夏に亡くなったんじゃなかった?」
「俺、そんなの知らねーんだけど」
「アンタ、去年帰って来なかったじゃない」
そういや、去年は補習で帰れなかった。
「アンタに、会いに来たのかしらね」
ヘッ、洒落になんねえ。



 少し早目の、怪談。

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