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幻滅デイリー
いてまえヒーロー
 ヒーローなんて、いない。それは、誰もが知っていた事だ。三分間しか動けないヒーローや、愛と勇気だけが友達のヒーローや、元々は敵に改造されたヒーローも。

 俺は今まで生きていて、ヒーローに助けられた事も無ければ、見た事も無い。ただ、見た事があるのは見返り欲しさ、または偽善だろう。



 昔々、俺は虐められっ子でした。しかし、助けてくれる人は誰ひとりとしていませんでした。見ているだけ、ただ見ているだけ。何もせずに、見ているだけ。先生は、学校の問題になるからと全く相手にしてくれませんでした。親は、「やり返すまで帰って来るな」と言いました。そのうち、傍観者だった奴らも加害者になりました。



 俺は、それからボクシングを親に習わされた。幸か不幸か、打たれ強さも相俟って加害者だった奴らを顔が腫れ上がるまで殴ったのをまだ覚えている。その時も、俺が一方的にやっていたのに、ヒーローなんて奴はやって来なかった。誰が困っていようと来ない、幻想だけに生きられるのがヒーローなんだって子供ながらに学んだ。

 ヒーローなんて、俺がブッ潰してやる。けれども、俺もヒーローじゃない。ヒーローなんて、第一いないのだから。

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あきゅろす。
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