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幻滅デイリー
オウンゴール
 自殺関与罪、他人では無い。つまり、当て嵌まらない。自殺教唆罪、決意させてはいない。つまり、当て嵌まらない。自殺幇助罪、便宜を与えていない。つまり、当て嵌まらない。ぼくは、全くもって無実じゃないか。さあ、今すぐ勝訴と掲げて裁判所を飛び出さなければ!



「ぼくは、ぼくを殺しました。だって、そうしなければならなかったんです。殺さなければ、ぼくは誰になってしまうのですか。ぼくは、他人になんかなりたいと思った事は無い。他人にさせられるのだって、真っ平御免ですよ」
「被告」
ざわざわと辺りが煩い。ぼくはただ、ぼくがぼくであることを証明したかっただけなのに。
「落ち着きなさい」
「ええ、落ち着いていますよ。この通り」
無意識に、呼吸が荒くなっている。薬だ、薬を飲まなければ。ポケットをまさぐっても、薬が無いことは明らかだ。だが、ぼくは解り切っていながら探してしまう。いつもそうだ、そこには無いと解りながらしてしまう浅はかさ。それが、今回の事件の真相だったのだ。ぼくは、悪くない。悪いのは、ぼくの振りをした自分達。ぼくは、自分を片付けただけ。自分を。自分達を。
「では、確認します。被告は、被告のクローンを殺しましたね」

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