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幻滅デイリー
元ヤン彼氏 C
 俺が族の総長だったなんて、絶対に知られたく無い。いや、知っていたとしても総長の俺は死んだのだ。よし、取り敢えずは誤解を解こう。そして、まずは穏和な人間だという事をアピールするんだ。そう、族のイメージを払拭する。
「前田、何か目がギラギラしてっぞ」
学級委員の織田が、俺の肩を叩く。俺は、フレンドリーに笑った。
「素手ゴロになんか、行かないから安心しろ」
「スデゴロ……?」
そう。俺はこれから二年の沢田とかいう、女と決着をつけるべく戦場へ向かわねばならない。



 昼休み、勢いよく二年クラスの教室のドアを開ける。バンッと凄い音を立てたが、そんな事を気にする余裕は無い。
「沢田さん、俺と付き合って下さい!」
「は、はい……。こちらこそ、喜んで……」
ん? 周りがキャアキャアと煩いな。ドアの音だろうか、一応謝っておくか。
「(ドアの開閉が)騒がしくて、すまない!」
「いいえ、末永くお幸せに!」
は? 何故、祝福されている?
「わたし、前田先輩なら亭主関白でも構いませんから!」
「……はァ?」
腕を組まれ、その上頬擦りされる。い、意味が解らない……。どうやら、俺には計り知れない程の誤解を生んでしまったらしい。

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